2021年3月31日更新

FQ2.造影乳房MRIは高濃度乳房に対する乳がんマンモグラフィ検診の補助的乳がん検診モダリティとして勧められるか?

1.乳がん検診

ステートメント
・高濃度乳房に対する乳がんマンモグラフィ検診の補助的乳がん検診モダリティとして造影乳房MRIを行うことが検討されている。

背 景

乳がん検診において,マンモグラフィは死亡率低減効果の証明された唯一の検診方法である。しかしながらその感度は乳房構成の上昇によって低下することが明らかになっている。このため高濃度乳房に対して低下した感度を補うため

解 説

造影乳房MRIは,その高い感度からBRCA遺伝子変異保持者をはじめとするハイリスク女性へのスクリーニング検査として欧米のガイドラインでは推奨されているものの,高濃度乳房を含む中等度以下のリスクへのスクリーニングの有用性については十分なエビデンスがなく,推奨はされていない1)2)。そのため本項では,Melnikowらが行った過去のスクリーニング造影乳房MRIに関する報告から高濃度乳房の症例を抜き出したサブグループ解析3)をもとに検討した。そこではマンモグラフィで異常のなかった高濃度乳房に追加で造影乳房MRIを行った場合に,新たに乳癌が発見される率は1,000検査中3.5~21例(うち浸潤癌は1.2~19例)あるいは1,000人中28.6例(うち浸潤癌は19例)であった。感度は75~100%(うち浸潤癌は100%),特異度は78.1~94.1%(うち浸潤癌は78.8~93.2%),陽性適中度は3~33.3%(うち浸潤癌は7.7~22.2%),陰性適中度は99.9~100%(うち浸潤癌は100%)で,要精査率は8.6~23.4%であった4)~6)。このように高い感度と陰性適中度から高濃度乳房に対する乳がんマンモグラフィ検診の補助的乳がん検診モダリティとして造影乳房MRIは有用と考えられるが,要精査率が上昇すること,造影剤を使用するためその副作用の可能性があること,検診に用いられる他の検査に比べてコストが高いことや撮影できる施設が限られていることなどが問題として挙げられる。また,死亡率減少に関する証明もされていない。したがって造影乳房MRIは対策型検診においては推奨できないものの,任意型検診においてはこれらの利益と不利益の情報を提供し,それを受診者が理解したうえで使用することは問題がないと考えられる。撮影に関してはKuhlらが提唱した省略造影乳房MRIが短時間での撮影および読影が可能で有用と考えられる5)

検索キーワード・参考にした二次資料

PubMedで“Breast Density”,“Breast Neoplasms”,“Early Detection of Cancer”,“Magnetic Resonance Imaging”,“Mammography”,“Mass Screening”のキーワードで検索した。検索期間は2014年1月から2016年11月までとし,77件がヒットした。スクリーニングで6編の論文が抽出され検討した。

参考文献

1)Mann RM, Kuhl CK, Kinkel K, Boetes C. Breast MRI:guidelines from the European Society of Breast Imaging. Eur Radiol. 2008;18(7):1307―18. [PMID:18389253]

2)Mainiero MB, Lourenco A, Mahoney MC, Newell MS, Bailey L, Barke LD, et al. ACR Appropriateness Criteria Breast Cancer Screening. J Am Coll Radiol. 2016; 13(11S): R45‒9. [PMID: 27814813]

3)Melnikow J, Fenton JJ, Whitlock EP, Miglioretti DL, Weyrich MS, Thompson JH, et al. Supplemental screening for breast cancer in women with dense breasts:a systematic review for the U. S. Preventive Services Task Force. Ann Intern Med. 2016;164(4):268―78. [PMID:26757021]

4)Kriege M, Brekelmans CT, Obdeijn IM, Boetes C, Zonderland HM, Muller SH, et al. Factors affecting sensitivity and specificity of screening mammography and MRI in women with an inherited risk for breast cancer. Breast Cancer Res Treat. 2006;100(1):109―19. [PMID:16791481]

5)Kuhl CK, Schrading S, Strobel K, Schild HH, Hilgers RD, Bieling HB. Abbreviated breast magnetic resonance imaging(MRI):first postcontrast subtracted images and maximum―intensity projection―a novel approach to breast cancer screening with MRI. J Clin Oncol. 2014;32(22):2304―10. [PMID:24958821]

6)Berg WA, Zhang Z, Lehrer D, Jong RA, Pisano ED, Barr RG, et al;ACRIN 6666 Investigators. Detection of breast cancer with addition of annual screening ultrasound or a single screening MRI to mammography in women with elevated breast cancer risk. JAMA. 2012;307(13):1394―404. [PMID:22474203]

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