2021年3月31日更新

BQ4.ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する内分泌療法において,前治療の効果は次の内分泌療法の効果予測となるか?

2.転移・再発乳癌

ステートメント
・前治療で内分泌療法の効果を認める症例のほうが次治療の内分泌療法で効果が高い傾向がある。しかし,前治療で効果が得られなかった症例においても,次治療の内分泌療法で効果が得られる症例もある。

背 景

転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法を開始して6カ月以内に病勢進行(PD)となった症例,または術後内分泌療法を開始して2年以内の再発症例をprimary endocrine resistanceと呼び,転移・再発乳癌の一次内分泌療法を開始して6カ月以上経った後にPDとなった症例,または術後内分泌療法中で開始後2年以上経過した後に再発した症例や術後内分泌療法終了して12カ月以内に再発した症例をsecondary(acquired)endocrine resistanceと定義されている1)。本BQでは前内分泌療法の効果が次の内分泌療法の効果予測因子となるかを概説する。

解 説

前内分泌療法の効果が次の内分泌療法の効果予測因子となるかを前向きに検討したエビデンスレベルの高い研究は少ない。コホート研究や2種類の内分泌療法をクロスオーバーした臨床試験,ランダム化比較試験のサブグループ解析で前向きもしくは後ろ向きに一次内分泌療法と二次内分泌療法の奏効率やクリニカルベネフィットを検討したものがある。

フルベストラント(250 mg)もしくはタモキシフェンによる一次内分泌療法とその後担当医が選択した二次内分泌療法のクリニカルベネフィットを検討したコホート研究(n=149)では,一次内分泌療法でクリニカルベネフィットが得られなかった症例に比べて,クリニカルベネフィットが得られた症例のほうが二次内分泌療法でも治療効果が得られる傾向があった2)。一方,非ステロイド系アロマターゼ阻害薬でPDとなった転移・再発乳癌に対してエキセメスタンの奏効率を検討したクロスオーバー試験(n=241)では,一次内分泌療法と二次内分泌療法の効果に相関はみられなかった3)。一次内分泌療法でクリニカルベネフィットが得られなかった症例においても二次内分泌療法で6カ月以上のクリニカルベネフィットが得られる症例を2~3割認めている。

したがって,一次内分泌療法でクリニカルベネフィットが得られなかったとしても,生命を脅かす状況や内臓転移の急激な進行でなければ,化学療法に変更するのではなく機序の異なった内分泌療法もしくは内分泌療法とパルボシクリブやエベロリムスなどの分子標的薬との併用療法を行うことが望ましい。

一次,二次内分泌療法の治療効果と三次内分泌療法の治療効果との関連を検討した前向き臨床研究はいまだないが,NCCNガイドラインでは三次内分泌療法までのいずれの治療もクリニカルベネフィットが得られなかった場合には化学療法に変更することが勧められている。また,治療選択の際には術後療法で用いた内分泌療法や再発時期,再発部位等も考慮する必要がある(薬物BQ2参照)。

検索キーワード・参考にした二次資料

PubMedで“Breast Neoplasms”,“Neoplasm Metastasis”,“Neoplasm Recurrence, Local”,“Antineoplastic Agents, Hormonal”,“Aromatase Inhibitors”,“Estrogen Antagonists”,“Gonadotropin―Releasing Hormone”,“Tamoxifen”,“letrozole”,“anastrozole”,“exemestane”のキーワードと,“first line”,“second line”,“third line”の同義語で検索した。検索期間は2016年11月までとし,250件がヒットした。

参考文献

1)Cardoso F, Costa A, Senkus E, Aapro M, André F, Barrios CH, et al. 3rd ESO―ESMO international consensus guidelines for advanced breast cancer(ABC 3). Ann Oncol. 2017;28(12):3111. [PMID:28327998]

2)Robertson JF, Howell A, Gorbunova VA, Watanabe T, Pienkowski T, Lichinitser MR. Sensitivity to further endocrine therapy is retained following progression on first―line fulvestrant. Breast Cancer Res Treat. 2005;92(2):169―74. [PMID:15986127]

3)Lønning PE, Bajetta E, Murray R, Tubiana―Hulin M, Eisenberg PD, Mickiewicz E, et al. Activity of exemestane in metastatic breast cancer after failure of nonsteroidal aromatase inhibitors:a phaseⅡ trial. J Clin Oncol. 2000;18(11):2234―44. [PMID:10829043]

乳癌診療ガイドライン

PAGETOP
Copyright © 一般社団法人日本乳癌学会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.