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CVポートとは,点滴や注射の抗がん薬(化学療法薬)を安全に投与するために,カテーテルの先を中心静脈(central vein; CV)に留置し,手元側を薬剤を注入するための器具(ポート)に接続して,皮下に埋め込み,留置したもののことです。
CVポート留置のメリット・デメリットなどの説明を受けて,施行するかどうかを判断してください。

解説
抗がん薬の投与方法

一般的に,点滴による治療では腕などの静脈に注射針を刺して薬を投与します。治療によって長い時間の点滴や,長期間にわたり頻回の点滴が必要になることがあります。

抗がん薬の投与を腕の静脈から何度か行っていくうちに,血管が傷つき,血管に針が入りにくくなることがあります。アンスラサイクリン系の抗がん薬やビノレルビン(商品名 ナベルビン)などといった抗がん薬は血管の炎症を起こしやすく,血管が固くなったり,痛みを起こしたり,血管が詰まったりすることがあります。血管に針が入りにくくなると抗がん薬の血管外漏出(ろうしゅつ)(血管から()れてしまうこと)の危険性が高まってきます(血管炎 ☞Q48参照)。

これらを防ぐために鎖骨付近や上腕や頸部などからチューブ(カテーテル)を心臓近くの静脈(central vein; CV)に入れて,チューブ先端の薬の注入口を皮下に埋め込む方法があります 図1 。このカテーテルと薬の注入口本体を「ポート(CVポート)」といい,ポートを埋め込む手術には局所麻酔で30分~1時間程度の時間がかかります。CVポートが必要なくなった場合には,局所麻酔下の小さな手術で取り除くことが可能です。

CVポートを使用するメリットとしては,簡単・確実に針を刺すことができること,点滴する薬剤による血管炎を起こさないこと,血管外漏出の危険性が少ないこと,検査の際の採血や造影剤の注射も可能となることなどが挙げられます。

デメリットとしては,カテーテルを挿入するための手術で,針が動脈に当たって出血したり,まれに肺に当たって肺がしぼんだり,挿入部が感染したりすることがあります。その際は適切な処置を行います。また,ポートの詰まりを防止するために定期的に生理食塩水を注入する必要があります。非常にまれですが,体内でカテーテルが破損し,血管内のカテーテルが血管内に残されると,それを取り出す処置が必要になることもあります。一般的に安全性は高く,適切な管理によって,これらのトラブルはある程度防ぐことができます。

 図1  皮下埋め込みポートの例