進行・再発乳がんの治療を受けるときには,病気の進行によって予想される生活への影響,治療を行う場合の益と害,治療を継続しない場合の今後の見込みなどについて,医療者と話し合って決めていくことが大切です。そして,患者さんとご家族や親しい方との話し合いも大切です。まず,患者さんご自身の希望を具体的に伝えておくとよいでしょう。それに対して,ご家族や親しい方は,患者さんの治療や生活について,希望・期待していることとその理由や,ご家族自身の事情などを伝えるとよいでしょう。そして,患者さんとご家族でお互いの希望や考えを理解し合い,患者さんにとっての最善を考えていくことが大切です。

アドバンス・ケア・プランニングとは,人生の最終段階に備えて,治療についての意向や,患者さん自身で意思決定が難しいときの代理決定をする人を話し合っておくことです。つまり「患者・家族・医療従事者の話し合いを通じて,患者の価値観を明らかにし,これからの治療・ケアの目標や選好を明確にするプロセス」であり,繰り返し話し合いをすることが重要です。このアドバンス・ケア・プランニングの考え方が広まった背景には,諸外国で,患者さんが自分自身での意思決定が難しいときに備えて,あらかじめ希望する治療(希望しない治療)を文書に書いていたとしても,患者さんとご家族が話し合いをしていない場合には,その文書通りに実行することが難しいという問題が起きていたことが挙げられます。

アドバンス・ケア・プランニングで話し合っておく内容は,今後の治療の希望とその理由,してほしくないこととその理由,どこで療養したいかとその理由,代理決定者の選定などです。さらに,病状が進んだ状況にあっては,水分補給の点滴や蘇生処置などの意向も,その理由とともに話し合っておくとよいでしょう。

アドバンス・ケア・プランニングに関する情報の入手先
アドバンス・ケア・プランニングに関しては,厚生労働省や研究機関などのホームページで情報が公開されています。ご自身の希望や考え方を記載するリーフレットなどもダウンロードできます。

〈医療機関や学会などが運営しているホームページ〉