総説5   遺伝性乳癌と遺伝学的検査,遺伝カウンセリング

 乳癌の5~10%は遺伝性,すなわち乳癌の発症に関係する遺伝子の生殖細胞系列変異(germline mutation)を有していると考えられている。癌の二次予防の観点から,遺伝的な乳癌発症リスクを評価し,リスクが高い人に対して早期の医療介入を実施して,生命予後を改善することができればその意義は大きい。欧米では,乳癌既発症者を対象に遺伝性乳癌の可能性を評価し,遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを実施している。遺伝的要因が存在する可能性が高いと評価された場合には,それに基づいて,家系内の既発症者および未発症高リスク者を対象とした検診サーベイランス,リスク低減手術,薬物による化学予防等を行うことが標準医療となりつつある。日本では,2020年4月の診療報酬改定でようやくBRCA1/2遺伝子検査の一部(診療報酬点数上D006-18,および遺伝カウンセリング加算D026),また一定の条件下でのBRCA病的バリアント保持者のサーベイランスとしての乳房造影MRI検査,さらにリスク低減乳房切除術(RRM)〔診療報酬点数上K475(対側の)乳房切除術〕およびリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)(同,K888子宮附属器腫瘍摘出術)が保険収載され,医療関係者の間でもようやく遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)に関する認識が普及してきた1)。そして日本の乳癌患者の中にもBRCA1あるいはBRCA2に病的バリアントを有する遺伝性乳癌患者が少なくないことが明らかになってきた2)

 わが国でも家族性乳癌への関心は決して低いものではなく,HBOCの原因遺伝子が同定される以前から,独自の臨床診断基準を設けてその臨床病理学的特徴が検討されてきた。野水らの家族性乳癌の定義3(表1)を満たす症例は,乳癌症例の約2.0%であることが報告されている。

 1994~95年に,BRCA1BRCA2と原因遺伝子が相次いで同定され,特に欧米においてHBOCの臨床的特徴や自然史が急速に解明された。一方,わが国のHBOCの臨床研究は限定的であったが,BRCA遺伝学的検査の受検者の全国登録が始まり,BRCA1およびBRCA2病的バリアント保持者の臨床的および遺伝学的特徴が明らかになり始めている。

※生殖細胞系列の遺伝子検査を遺伝学的検査ともいう。HBOCを診断するためのBRCA1およびBRCA2の遺伝子検査を以後,BRCA遺伝学的検査と呼ぶ。

 遺伝カウンセリングとは,一般に遺伝性疾患に対する情報の提供と心理社会的支援を行うことを総称している。米国では専門職である遺伝カウンセラーが主体となって遺伝カウンセリングを行い,医師はもっぱら診断・治療を担当しており,それぞれの役割分担が明確である。わが国の遺伝診療における遺伝カウンセリングは医療行為と捉えられており,認定遺伝カウンセラー®、臨床遺伝専門医、診療科あるいは遺伝カウンセリング担当の医師が中心に遺伝カウンセリングを行っている施設が多い。近年,わが国でも日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会の共同認定による認定遺伝カウンセラー®制度が発足し,徐々に診療の現場に参画するようになった(2023年4月現在356人)。しかしながら,まだわが国の癌の遺伝カウンセリングの歴史は浅く,本格的に取り組まれるようになったのは1990年代の後半からである。

 当初、癌領域の遺伝カウンセリングは有志が自発的に診療科の一部として遺伝外来を行っていた。2016年4月の診療報酬改定で,網膜芽細胞腫(RB1)および甲状腺髄様癌(RET)の遺伝学的検査およびこれに伴う遺伝カウンセリング加算が最初に算定された。その後, 2018年6月に「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に対するPARP阻害薬のコンパニオン診断としてBRCA遺伝学的検査が保険適用となった。2020年4月より、以下のいずれかの条件を満たす乳癌患者に対しては、BRCA遺伝学的検査が保険適用となった。

  • 45歳以下発症乳癌
  • 60歳以下発症乳癌で、かつサブタイプがトリプルネガティブ
  • 両側または片側に2個以上の原発性乳がんを有する
  • 男性乳癌
  • 乳癌診断時に、卵巣癌・卵管癌・腹膜癌のいずれかを合併している
  • 血縁者(第3度親等以内)に乳癌・卵巣癌・膵臓癌患者の家族歴を有する

さらに乳癌患者でBRCA病的バリアントありと判定された場合、以下のリスク低減手術が保険適用となった。(☞遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2021年版 診療アルゴリズム2および6参照)

  1. 対側乳房のCRRM(対側リスク低減乳房切除術)、および乳房再建手術
  2. RRSO(リスク低減卵管卵巣摘出術)

また、リスク低減手術を受けない場合には、温存時の患側乳房、CRRMを受けない対側乳房、RRSOを受けない場合の卵巣へのサーベイランスが保険適用となった。(☞検診・画像診断CQ2参照)(☞遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2021年版 診療アルゴリズム2および6参照)

2020年12月に「相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブを含む初回化学療法後の維持療法」,「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」,「BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法」、2022年8月に「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」がPARP阻害薬の適応症として認可され、コンパニオン診断としてBRCA遺伝学的検査が追加で保険適用となった。

 しかし,癌未発症の血縁者を対象としたBRCA遺伝学的検査および未発症BRCA病的バリアント保持者のサーベイランスやリスク低減手術は自費診療のままである。以下の記述は,米国での遺伝カウンセリングや欧米でのデータを参考に,わが国の医療制度の枠内で実施できる遺伝子医療における提案である。

1)HBOCの遺伝医療を実施する体制
 各医療施設でHBOCの遺伝医療を実施する場合に,考慮すべき点を以下に挙げる。

(1)診療科スタッフの遺伝医療に対する認識の普及
 HBOC診断目的でのBRCA遺伝学的検査が保険収載されたことに伴い,各診療科でHBOCの診断のためにBRCA遺伝学的検査を実施する機会が増加している。どのような患者にBRCA遺伝学的検査を考慮するかは「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2021年版」の乳癌BQ1を参照する4)。すなわち,乳癌患者では,45歳以下発症乳癌、②60歳以下発症乳癌で、かつサブタイプがトリプルネガティブ、③両側または片側に2個以上の原発性乳がんを有する、④男性乳癌、⑤乳癌診断時に、卵巣癌・卵管癌・腹膜癌のいずれかを合併している、⑥血縁者(第3度親等以内)に乳癌・卵巣癌・膵臓癌患者の家族歴を有する、が対象となる(以下,これらの対象者を「#1」と称す)。さらに、がんゲノムプロファイリング検査の結果,BRCA1/2の病的バリアントをもっている可能性がある場合(生殖細胞系列変異を確認する)、コンパニオン診断目的にHER2陰性の手術不能または転移・再発乳癌における薬物療法、再発高リスクの乳癌における術後薬物療法でオラパリブの投与が検討されている場合,の3つがある。原則として乳癌診療に関わるすべてのスタッフがHBOCの基本事項について認識しておくことが望まれる。実際に遺伝医療を担当するのが乳腺科の一部の医師であるとしても,その他のスタッフも遺伝情報の取り扱い等も含めた遺伝医療の基本的な知識を共有している必要がある。

(2)遺伝カウンセリング担当スタッフ
 医師および他の医療専門職者でチームをつくって担当することが望ましい。医師は乳腺科,婦人科等の診療科の医師が担当することが想定される。さらにコンパニオン診断の適応拡大に伴い,泌尿器や消化器科の医師との連携も必要である。遺伝カウンセリング部門があれば専任の医師が担当する。診療科の医師はサブスペシャリティとしてHBOCと関わることになるが,臨床遺伝学や腫瘍遺伝学の基本的な知識を有している必要がある。関連学会が開催しているセミナー等に参加して遺伝性腫瘍の基本およびアップデート情報は理解しておくことが望まれる。

 医師以外の医療従事者としては,外来担当の看護師が兼務する状況等が考えられる。この場合も関連学会主催のセミナー等で,遺伝性腫瘍に関する基本的な知識や患者対応の基本的なスキルを習得するべきである。大学院の遺伝カウンセラー養成課程を修了し,学会認定を受けた認定遺伝カウンセラー®が医師との連携のもとに遺伝カウンセリングを担当することも少しずつ増えてきている※※

※日本遺伝性腫瘍学会の遺伝性腫瘍セミナー,日本人類遺伝学会の遺伝医学セミナー,日本遺伝カウンセリング学会の遺伝カウンセリング研修会,日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)のHBOC教育セミナー等がある。詳細は各学会のウェブサイトを参照。

※※わが国の学会の遺伝関連認定制度として,臨床遺伝専門医制度,認定遺伝カウンセラー®制度,遺伝性腫瘍専門医制度がある。詳細はそれぞれのウェブサイトを参照。

(3)BRCA遺伝学的検査の実施体制
 これまでは,わが国でBRCA遺伝学的検査を診療として実施する場合にはファルコバイオシステムズ社と契約したうえで検査を委託していた。現在,保険収載されているのはMyriad社が提供しているBRCA1/2遺伝子検査である。保険適用として実施する場合には,施設基準があり,「遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし,遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し,当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は,この限りではない。」とされており1),自施設が施設基準を満たしていない場合には,近隣の施設基準を満たしている施設と連携してBRCA遺伝学的検査を実施する。

(4)マネジメント体制
 遺伝学的検査の結果,病的バリアントが認められた場合には,適切な医療介入が必要である。HBOCの診療では,遺伝学的検査を実施することに意義があるのではなく,その後のフォローアップ体制が機能して癌の二次予防に貢献することが,HBOC診断の大きな目的の一つである。そのために,複数の診療科が連携できるような体制を整備すること,もし自施設で難しいようであれば,クライエントの居住地等を考慮して適切な医療が受けられるようにマネジメントするのも,遺伝カウンセリングの重要な職務である。

 HBOCの遺伝カウンセリングを受ける対象者に明確な基準があるわけではないが,これまでは担当医からの紹介や,「自分の家系には乳癌の罹患者が多く,自分や娘が心配である」といって遺伝外来を訪ねたりするケースが多かった。ただ,潜在的なHBOC遺伝カウンセリング対象者はさらに広範にわたる。National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインではかつては詳しい遺伝的リスク評価を行う基準(一次拾い上げの基準)を設けて,遺伝の専門家への照会を推奨していた。若年乳癌患者や家族歴のある乳癌患者等が基本的に対象となる。ここで遺伝性腫瘍の可能性について遺伝カウンセリングの中で検討して(二次評価),遺伝学的検査を行っていた。現在のNCCNガイドラインでは,遺伝学的検査の基準(testing criteria)とともにその検査前後のカウンセリング(pre-test counselingおよびpost-test counseling)で取り扱うべき内容が示されている(表2)5

 わが国では,HBOCに対する認識が普及しつつあるが,それでもまだ典型的な既往歴な家族歴のあるHBOC家系の乳癌患者に適切な情報が伝わっていないことから,診療現場でのHBOCの拾い上げは依然,重要な課題である。HBOCの可能性を検討するために,初診時に既往歴,家族歴を聴取して診療録のわかりやすいスペースに記載すること,問診票等を診療科の医師,外来看護師,認定遺伝カウンセラーがチェックすること,さらにNCCNガイドライン5のtesting criteria等を参考に該当する患者に遺伝学的検査の情報を提供する。そして,当事者の意向があれば癌の遺伝外来を紹介する,といった方法が考えられる。少なくとも表1に示す野水らの定義を満たす家系の乳癌,卵巣癌患者に対して,また前述1)-(1)の「#1」に該当する乳癌患者に対して適切な情報が提供できるように配慮する必要がある。

2)HBOCの遺伝カウンセリングの実際
 以下,NCCNガイドライン「遺伝的要因/家族歴を有する高リスク乳癌卵巣癌症候群」5)および「遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2021年版」4)を基本に置きながら,米国産科婦人科専門医科会(ACOG)の診療指針6),米国予防サービス医療専門委員会(USPSTF)の診療指針7),欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のガイドライン8),英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドライン9),米国臨床腫瘍学会(ASCO)の会告,マネジメントガイドライン10)~13)等も参照して要点を紹介し,解説する。

(1)既発症者の乳癌が遺伝性である可能性を考慮すべき状況
 ある患者の乳癌が遺伝性であるか否かを,臨床所見や家族歴等から特異的に判断する明確な基準は存在しない。BRCA 1/2遺伝子検査が保険収載されたが,すべての人が対象となるわけではなく,原則としてわが国では前述「#1」の条件を満たす乳癌または卵巣癌患者である。この基準に当てはまらない人や癌の未発症者がBRCA遺伝学的検査を希望する場合は,従来どおり自由診療として対応する必要がある。診療の現場では,まず検査を受ける方が保険適用の基準を満たしているかを検討する。

 もし「#1」の基準を満たしていた場合,遺伝医療の経験のある診療科医師あるいは遺伝カウンセリング担当医が,BRCA遺伝学的検査のためのプレテストカウンセリングを行う(表2)。患者のBRCA遺伝学的検査を受ける意思がある場合,遺伝カウンセリング外来で遺伝医療担当医がリスク評価を行い,BRCA遺伝学的検査を行う臨床的意義を検討する。そのうえで,本人の遺伝学的検査を受ける意向を再度確認してBRCA遺伝学的検査を保険診療として実施する。その際,BRCA遺伝学的検査で病的バリアントが認められた場合の医学的対応をシミュレーションしておくことが重要である。

 乳癌患者においては,他に家族歴がなくても,状況によっては遺伝性乳癌の可能性を考慮しなければならない。血縁者の数が少なかったり男性が多かったりすると,見かけ上家族歴がみられないからである。父方血縁者の家族歴聴取も重要である。また,自分は乳癌に罹患していなくても血縁者に癌罹患者が多く,遺伝外来を受診するケースも想定される。この場合には遺伝カウンセリングの専門外来等で自費診療として遺伝カウンセリングおよび遺伝学的検査を行う。ただし,可能であれば,家系内で乳癌や卵巣癌の発症者がいれば癌の発症者から,また複数発症者がいれば,若年発症,多発等,HBOCが最も考慮される方から遺伝学的検査を行うほうが,家系内で得られる情報は多い。すなわち,未発症の方からBRCA遺伝学的検査を行って病的バリアントが認められなかった場合,他の乳癌患者はBRCA病的バリアントをもっているのに自分は共有しなかっただけなのか,そもそもその家系の乳癌発症にBRCAが関わっていなかったのか,鑑別し難いからである。

 HBOC患者に適切な医療を提供するために,問診票の活用,外来や病棟での家族歴聴取,患者向け冊子・ポスターの設置,遺伝性腫瘍に焦点を当てた症例検討会等,さまざまな工夫を講じることが望まれる。

(2)BRCA以外の原因による家族性乳癌家系の可能性がある場合
 BRCA以外でも家族性乳癌の原因遺伝子が存在する。Li-Fraumeni症候群,Cowden症候群,神経線維腫症1型(NF1)等の病態が疑われる場合は,遺伝性腫瘍の専門家に紹介する。そこでは,患者(場合によっては未発症者)のニーズや心配な点を尋ねるとともに,家族歴や既往歴の十分な聴取を行って,対象家系の詳細な評価を行い,遺伝学的検査の選択肢を考慮すべきかどうかを判断する(評価手順はNCCNガイドライン5)参照)。

 実際に乳癌診療や遺伝専門外来を実施している施設内では,それぞれの状況に合わせたHBOCの遺伝カウンセリングの診療手順を施設内で協議してルール化しておく必要がある。日本では今後急増すると予測される遺伝性腫瘍の患者・家族に対応できる遺伝医療体制がまだ十分に構築できているとはいえない。ASCOでは,癌専門医の腫瘍遺伝学教育に力を入れており,日本においても遺伝医療体制の整備とともに,癌診療に従事するすべての医師が腫瘍遺伝学に関する基礎的な知識を習得することが望まれる。さらに,遺伝性腫瘍の詳細な評価を行う専門家の育成およびこれらの専門家へ容易に紹介できるシステムの整備が急務である

※全国遺伝子医療部門連絡会議のウェブサイトには「登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム」があり,地域別,疾患群別に遺伝子診療部医療を実施している全国の施設を検索できる。

(3)遺伝性乳癌を考慮する場合の選択肢としての遺伝学的検査
 遺伝学的検査を考慮すべきと判断された個人やその血縁者に対しては,遺伝学的検査の選択肢を提示する。ここで注意すべき点は,「遺伝学的検査の実施」を推奨しているわけではなく,「遺伝学的検査という選択肢があることの提示」を推奨していることである。

 代表的な遺伝性乳癌は,遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)である。HBOCが疑われる場合は,その主たる原因として知られている2つの遺伝子,BRCA1BRCA2病的バリアントの有無を調べる遺伝学的検査の選択肢を提示する。状況により他の遺伝性腫瘍症候群の可能性が考えられる場合は,それぞれの原因遺伝子の検査を選択肢として提示する(Li-Fraumeni症候群ではTP53,Cowden症候群の場合はPTEN,神経線維腫症1型ではNF1等)。これらの遺伝子検査は,癌細胞において変化した遺伝子の検査ではなく,先天的な病的バリアントの有無を調べる生殖細胞系列の遺伝学的検査である。

 遺伝学的検査を受けるかどうかは,個人の自由意思に基づく選択である。遺伝学的検査の選択肢を提示する際には,表3の事項について話し合い,インフォームドコンセントを取得した後,検査を実施する。

 最近ではBRCA遺伝学的検査のみならず,これを含む20~30以上の遺伝性腫瘍の原因遺伝子を解析する遺伝性腫瘍の多遺伝子パネル検査(multi-gene panel testing)がわが国でも普及しつつある。また,治療効果が期待できるがんゲノムプロファイル検査(クリニカルシークエンス)では,癌組織の病的バリアントを調べることが目的であるが,その過程で生殖細胞系列変異が示唆される所見を得ることがある(二次的所見)。

(4)BRCA1/2遺伝子検査(Myriad社)をコンパニオン診断として実施する際の注意事項
 これまで遺伝性腫瘍の遺伝学的検査は,遺伝性腫瘍の診断を行う目的で遺伝カウンセリングの中で実施してきた。一方,遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子は,癌抑制遺伝子あるいはDNAの修復に関わる遺伝子等発癌過程に深く関わるため,創薬のターゲットになり得る。2018年6月より,PARP阻害薬(オラパリブ)のコンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝子検査(Myriad社)が実施されている。

 医薬品の効果や有害事象を投薬前に予測するために行われる臨床検査は,コンパニオン診断と呼称される。これまで癌の治療薬としての分子標的薬のコンパニオン診断は,もっぱら癌組織を用いて行われてきた。これは癌の体細胞変異を調べている。一方で,BRCA1/2遺伝子検査(Myriad社)は,コンパニオン診断として分子標的薬の効果予測を行うために生殖細胞系列の病的バリアントを調べる初めてのケースである。

 癌組織の病的バリアントを調べる検査と異なり,遺伝学的検査の以下のような特徴には特に注意を要する。BRCA1/2遺伝子検査(Myriad社)を行う際に,事前に説明して理解を得ておく必要がある15

①一生涯結果は変化しない
②病的バリアントが見つかれば遺伝性腫瘍の確定診断となる
③病的バリアントが見つかれば被検者のみならず血縁者も同じ乳癌等に罹患しやすい体質をもっている可能性がある
④病的バリアントが見つからなければ自らの乳癌はBRCA1およびBRCA2の病的バリアントに基づいて発症した乳癌の可能性はほぼ否定されるが,遺伝的な要因を完全に否定できたわけではない
⑤結果の解釈について。すなわち病的バリアントが認められた,今回の解析では病的バリアントは認められなかった,の他にさらに病的意味が不明なバリアント(variant of uncertain significance:VUS)が認められる可能性(2018年の登録事業のデータではBRCA遺伝学的検査におけるVUSの頻度は全検査の7.0%である16))がある。

 すなわち,BRCA1/2遺伝子検査(Myriad社)は,血液検体を用いて行う場合にはPARP阻害薬のコンパニオン診断として実施する場合でも,結果的には乳癌患者にBRCA1BRCA2病的バリアントによるHBOCの確定診断を行っていることに留意すべきである。

 原則として,病的バリアントあるいは病的バリアント疑いと診断された場合には,遺伝医療の専門家による遺伝カウンセリングを受けることが強く勧められる。自施設で遺伝カウンセリングを実施していない場合には,遺伝カウンセリング体制が整備されている医療機関と連携して必要時に患者が遺伝カウンセリングを受けられるようにしておく必要がある〔遺伝カウンセリングの連携を文書化して医事課等に保管しておく。連携確認書の例を添付する(図1)〕。

 本人のその後の臨床的マネジメントはPARP阻害薬の使用によって転移・再発巣の治療や再発予防の治療を行うことであるが,さらに病的バリアントの情報を血縁者に提供して血縁者の健康管理につなげられるように務めることも医学的意義がある17。本人の同意が得られれば,血縁者も同席して専門家の遺伝カウンセリングを受けることも1つの方法である。しかし,このような遺伝学的検査の結果の受け止め方や家族への影響はケースによって異なる。最終的には各人の自発的な意思により方針を決めることになるが,適切な情報を提供したうえで本人にとって最善の選択ができるよう,遺伝カウンセリング担当者は支援を行う15

 なお,病的バリアントが認められた症例だけではなく,VUSが認められた場合でも,遺伝学的検査の適切な理解を得るため,当事者の希望があれば専門家による遺伝カウンセリングを受診することも考えられる。

 遺伝学的検査の結果で病的バリアントが認められた場合には,本人のPARP阻害薬の治療が開始されるだけではなく,その時点から血縁者の健康管理が始まり得ることを医療者は認識する必要がある。血縁者の遺伝カウンセリングは自費診療となるが,未発症保持者診断を実施する場合はもちろんのこと,マネジメントに関する相談等,継続して関わりをもってハイリスク者への適切な医療介入の機会を提供できればその意義は大きい。

(5)がんゲノムプロファイリング検査でBRCA1/2の生殖細胞系列の病的バリアントが疑われた場合の遺伝カウンセリングにおける注意事項
 それぞれのがんに生じている病的バリアントを調べることによって,適切な治療薬を探索するためのがんゲノムプロファイリング検査が2019年6月に保険収載された。2023年4月時点で,保険適用になっているのは,標準治療がない固形癌患者または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形癌患者(終了が見込まれる者を含む)である1)。また,2021年8月より血液を用いたがんゲノムプロファイリング検査(リキッドバイオプシー)も保険収載されている。

 2022年4月現在,国内で保険収載されているがん遺伝子パネル検査は,OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム(シスメックス社)、FoundationOne®CDx(中外製薬)、FoundationOne®LiquidCDx(中外製薬)である。腫瘍組織や腫瘍由来ctDNAの遺伝子解析を行うが,OncoGuideTM NCCオンコパネルシステムでは生殖細胞系列の遺伝子解析も行う。この過程で,FoundationOne®CDxやFoundationOne®LiquidCDxでも生殖細胞系列の病的バリアントが疑われる場合がある。この場合は,エキスパートパネルでの議論をもとに,被検者の遺伝カウンセリング外来受診を検討する。がんのゲノムプロファイリング検査において,BRCA1/2に生殖細胞系列の病的バリアントが認められる頻度は,OncoGuideTM NCCオンコパネル検査で1.3%(4/230例)18,MSK-IMPACT検査で3.3%(52/1,566例)19という報告がある。

 これまで,遺伝医療として実施されてきたBRCA遺伝学的検査が,現在では,この他に,PARP阻害薬のコンパニオン診断として,また癌組織の遺伝子変異を調べるときにBRCAの生殖細胞系列の病的バリアントが示唆される場合に確認の検査としても実施されるようになった(図1)。がんゲノムプロファイリング検査の実施にあたっては遺伝性患が診断される可能性について事前に言及して,被検者に理解しておいていただく必要がある。遺伝カウンセリング担当者が事前の説明者と別の場合には,この点について,被検者がどの程度理解しているか確かめながら当該遺伝性疾患についての説明を行う。効果が期待できる治療薬を探索する目的で受けたがんプロファイリング検査で遺伝的な体質を指摘され,想定外の事態として動揺している被検者もいる。まずがんプロファイリング検査で得られた結果を適切に解釈してわかりやすく被検者に説明する。状況によってはセッションを分けて次の機会を設けることも考慮する。生殖細胞系列の病的バリアントを確認した場合には,その結果を伝えるとともに,血縁者への情報提供についても状況が可能であれば伝えておく。それによって血縁者がリスクを回避できる可能性もある。いずれの場合もBRCA1/2等の生殖細胞系列の遺伝学的検査がもつ意味合いや血縁者への情報提供の意義を被検者に理解していただくとともに,病的バリアントがあった場合の臨床対応を検査の説明時にシミュレーションしておくことが大切である。

(6)遺伝的に乳癌発症リスクが高いと考えられる人々に対する検診等の対策
 遺伝的に乳癌発症リスクが高いと考えられる人に対しては,リスク状況に応じて適切な対策を考慮し,その情報を当人に伝え,それらの対策を実施することが推奨されている。

 例えば,BRCA1BRCA2のいずれかに病的バリアントが存在する場合,乳癌および卵巣癌の発症リスクが一般集団より高くなり,最近のメタアナリシスのデータでは,70歳までの乳癌の発症リスクはBRCA1BRCA2病的バリアントをもつ場合それぞれ64.6%(95%CI 59.5-69.4%),61.0%(95%CI 48.1-72.5%),卵巣癌については同様に70歳まででBRCA1BRCA2病的バリアントをもつ場合それぞれ48.3%(95%CI 38.8-57.9%),20.0%(95%CI 13.3-29.0%)とされている20。したがって,高リスクを前提とした乳がんサーベイランスによる二次予防をはじめ,リスク低減乳房切除術(RRM)や,薬物による化学予防等が考慮される。表4に,NCCNガイドラインが推奨するマネジメントを示す。

 わが国では,これらの予防策について,2020年4月の診療報酬改定で,BRCA1BRCA2病的バリアントをもつ乳癌の既発症者を対象に,対側の乳房切除術(CRRM),リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載された。また前述の対象者が,リスク低減のための外科手術を希望しなかった場合,乳房造影MRI検査、(トモシンセシスによる)マンモグラフィ、乳房超音波検査などのサーベイランスも同様に保険適用となった1。一方,未発症のBRCA病的バリアント保持者の乳がん,婦人科がんサーベイランスやリスク低減手術は保険適用とはなっていない。また,これらのリスク低減のための乳房切除術および子宮附属器摘出術を実施するための施設基準がある(臨床遺伝学の診療に係る経験を3年以上有する常勤の医師が1名以上配置されている。遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている,等1)。自施設がこれらの施設基準を満たさない場合には,サーベイランスやリスク低減の外科手術が実施可能な近隣の医療機関と連携して,HBOC患者の診療を行うことが望まれる。遺伝的に乳癌発症リスクが高い人に対するサーベイランスは,侵襲の少ない予防策として欧米ではすでに推奨,実施されており,わが国においても乳癌発症高リスク者のサーベイランス体制の整備は急務である。また,NCCNガイドラインにおいて,RRMは個人の希望によって考慮すべき選択肢という扱いである。また,RRSOは生存率を改善する科学的根拠があることからも、適切な時期に実施することが推奨されている。卵巣癌は検診による早期発見が困難であるという実情を考慮して,わが国においてもBRCA病的バリアント保持者に対してRRSOおよびRRMが実施できる体制が構築されつつある。

 なお,BRCA1BRCA2のいずれかに病的バリアントが存在する個人が乳癌と診断された場合,乳房温存手術後の温存乳房内第2癌発症リスクや対側乳癌の発症リスクが増大する可能性があるとして, BRCA1BRCA2病的バリアントの有無は術式を決めるための情報としても利用される。NCCN乳癌ガイドライン21では,BRCA1BRCA2病的バリアントが判明していたり,遺伝的素因が疑われる女性においては,放射線治療を伴う乳房温存療法は相対的禁忌としている。一方で,放射線治療を併用した温存乳房内再発の頻度はBRCA1BRCA2病的バリアントの有無で有意な差はないという報告も複数みられ,ASCO等のHBOCガイドラインでは,同側残存乳房の第2癌や対側乳癌のリスクが高いことを患者に情報提供する必要はあるが,乳房温存療法はBRCA病的バリアント保持者にも安全な外科的治療の選択肢であるとしている13。今後さらに長期にわたる経過観察後の検討が必要である。

(7)遺伝カウンセリングとは
 遺伝カウンセリングとは,疾患の遺伝学的関与について,その医学的影響,心理学的影響および家族への影響を人々が理解して,それを助けていくプロセスであるとされる15)。このプロセスには,① 疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈,② 遺伝現象,検査,マネジメント,予防,資源,および研究についての教育,③ インフォームドチョイス(情報を得たうえでの自律的選択),およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリング,等が含まれる。これは米国の遺伝カウンセラー学会の定義を踏襲している22)。多くの乳癌患者の中から遺伝性乳癌患者を拾い上げることは,本人の将来の癌発症リスクに対する対策を開始することと,癌発症リスクが高い可能性のある血縁者に対して早期にリスク評価を行い,適切なサーベイランスに導く意義がある。表5に乳癌の遺伝性を考慮した診療の中で実施されるべき事項を,また図2にBRCA遺伝学的検査の流れを示す。

 乳癌の遺伝について扱う際は,通常の乳癌診療の中で,あるいは,別途面談時間を設ける等して,十分な時間を確保し,これらの事項を実施する。また,遺伝医療部門との連携も重要である。

 遺伝性腫瘍に対する遺伝カウンセリングでは,患者もしくはクライエントの遺伝的リスクを含めた医学的状況の確認,遺伝学的検査を含むリスク評価法の検討と選択肢の提示,リスクに基づく今後の健康管理法の検討と選択肢の提示,心理社会的な支援等が主治医との連携を取りつつ進められる。これらは表5にも記載した内容であり,実際の臨床現場では表5の1~5について,主治医や看護師によって実践されているのが現状であろう。実際,遺伝カウンセリングという言葉にこだわるよりも,これらの内容が何らかの形で医療として実施されるよう体制を整えることが最優先されるべきである。しかしながら,こうした医療は専門的な知識と時間を要する診療行為であり,多忙な乳腺外科医や現存の医療スタッフがすべてを実施することは容易でない。また遺伝医学に関する教育や研修の機会が十分に整備されていなかったわが国においては,必ずしも医師や看護師が遺伝医学的問題について十分に対応できるとは限らない。それゆえに,すでに述べてきた通り,乳癌診療に従事するすべての医療者が基本的な遺伝医学の知識を習得する研修体制を整備するとともに,遺伝カウンセリングを専門的に担当し,医師や看護師と適切な連携を取って包括的な医療の実践に貢献する医療部門の充実が強く求められており,遺伝性乳癌卵巣癌相互診療制度機構(JOHBOC)では医療機関の施設認定を行うとともに研修会を実施している。

 わが国においては,臨床現場において実施される遺伝学的検査に関していくつかのガイドラインが制定されている。これらは強制力をもつものではないが,医療者が良識に基づいて遵守することを期待されているものである。過去に公開され,現在も有効なガイドライン,例えば遺伝医学関連10学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン(2003年8月)」では,遺伝情報の特殊性とそれゆえの慎重な取り扱いの必要性,検査前後の遺伝カウンセリングの必要性を明記している。こうした方針は,被検者および血縁者の保護を最重視したゆえのものである。しかしながら,遺伝子解析技術の急速な進展や医療への応用の拡大に伴い,これらのガイドラインが求める対応が一般診療の現状と合わない部分も生じてきた。これを受けて,2011年2月に日本医学会から「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」が公開された15。ここでは,すでに発症している患者の診断を目的として行う遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解の確認は原則として主治医が行い,必要に応じて遺伝カウンセリング等の支援を受けられるように配慮することを求めている。このガイドラインにより,HBOCをはじめとする遺伝性疾患の遺伝学的検査とそれに続く診療がこれまでよりも円滑に進むことが期待される。しかしながら,このガイドラインがすべての医師に対して自由に遺伝学的検査を実施することを担保したり推奨したりするものではないことに留意すべきである。当然ながら遺伝情報の特殊性とそれに対する配慮,被検者への不利益防止の重要性はこれまでと何ら変わるものではない。したがって,このガイドラインの趣旨は,主治医が遺伝情報の特殊性を十分に理解し,かつ主治医のみならず施設において情報の取り扱いに対する安全管理措置が適切に取られているという条件を前提としたものと考えるべきである。十分な遺伝医療体制が整わない中では安易な遺伝学的検査を行わず,遺伝性腫瘍の専門家や遺伝性乳癌に対応可能な体制が整った遺伝医療部門に紹介する良識が求められる。

(8)心理社会的支援
 医療のいかなる現場においても人々の心理社会的な面に対する配慮は重要である。乳癌の遺伝カウンセリングでは基本的な心理面への配慮を行いつつ,前述した遺伝性の評価と情報提供を適切に行うことが求められる。臨床心理学的視点からみると,癌や遺伝に伴う心配や不安,悩みがあることや,家族の間での意見の不一致等がみられることは自然なことであり,多くの人は,時間の経過とともに自分で気持ちを整理したり家族の問題に対応したりすることができるとされている。たとえ患者や家族が混乱したり,決断できない状況に陥ったりとても,医療者が代わりに決断するような介入をしてはならない。医療者は患者や家族を落ち着いて見守りながら,悩んだり決断できないことは普通であることを認め,安心して悩んだり不安を感じたりすることができることを保証することが重要である。そのうえで,さらなる心理社会的支援が必要と考えられた場合には,個人や家族の求めに応じて,心理カウンセリング技術に長けた心理援助専門職に紹介することが望ましい。また医療費助成などの制度に関しては,医療ソーシャルワーカーを利用できること等の情報を提供する。HBOCの患者会が設立され,患者同士の交流の機会をもつことも一つの支援策となるかもしれない。

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