総説 Ⅳ.局所進行乳癌(StageⅢB,ⅢC)
治療の流れ
2.定 義
局所進行乳癌(locally advanced breast cancer;LABC)は,遠隔転移を有しない局所進行乳癌(StageⅢB,ⅢC)を指す。
3.治療の目的
- 手術を可能にするために薬物療法を先行する。
- 薬物療法のレジメンは,「早期乳癌」に準じる。
【豆知識】
炎症性乳癌 炎症性乳癌は,「乳癌取扱い規約(第18版)」では「通常腫瘤は認めず,皮膚のびまん性発赤,浮腫,硬結を示す」臨床的特徴を有する病態とされ,通常の乳癌とは区別されているが,臨床的には局所進行乳癌との共通点も多い。
4.治療方針
- まず薬物療法を行い,続いて局所療法(外科療法および放射線療法)を行うという集学的治療が標準的である。
- 薬物療法:標準的化学療法レジメンは,早期乳癌と同様に,HER2陰性ではアンスラサイクリン含有レジメンとタキサンとの順次併用療法であり,HER2陽性例ではアンスラサイクリン系レジメンと抗HER2薬(トラスツズマブとペルツズマブの併用)とタキサンの同時併用レジメンの順次投与である。
- 局所再発リスクを低減させるために,手術を施行した患者には放射線療法を行う。